
自社をさらなる成長ステージへ導くIPO(新規株式公開)。しかしその道のりは決して平坦ではありません。
年間数百万社が設立される日本において、上場企業はわずか数千社。狭き門を突破するためには、証券会社と証券取引所による厳格な審査をクリアする必要があります。
ここでは上場審査の全容を徹底解剖。審査基準や審査の流れ、そして審査通過のための秘訣を網羅的に解説します。上場準備を始める前に、ぜひご確認ください。
上場(IPO)するための審査基準

「上場」とは、企業が発行した株式が証券取引所で売買可能になるよう、証券取引所がその資格を付与することです。
上場することで、株式は日本国内にとどまらず、世界中の投資家によって取引の対象となります。そのため証券取引所は、投資家保護の観点から、その株式が幅広い投資家に適したものかについて、審査を行うのです。
上場を目指す企業は証券取引所に対して申請を行い、定められた基準をクリアしているか審査を受ける必要があります。
上場の難易度
お伝えしたとおり、企業が上場するには上場審査をクリアする必要があります。日本には約368万社の企業がありますが、そのうち東京証券取引所に上場しているのは、2023年9月末時点で約3,951社のみです。
上場審査の基準が厳格化された背景には、、上場後に業績の下方修正や不正が発覚するケースが増加したことが挙げられます。
※ 企業が上場するメリットの詳細は「中小企業が上場するメリット・デメリットを解説【資金調達】」で取り上げています。
上場の引受審査と公開審査

上場審査は、「主幹事証券会社の引受審査部門による引受審査」と「各証券取引所による公開審査」があります。このふたつの審査を詳しく見てみましょう。
引受検査
引受審査とは、主幹事証券会社の引受審査部門が実施する審査であり、証券取引所への正式な上場申請を行う前に行われます。
引受審査では、企業が上場を希望する証券取引所の基準に適合しているかをチェックします。具体的には、次の内容が審査の対象となります。
- 財務状況
- 事業内容
- 経営陣の資質
- 企業の将来性
引受審査を通過することで、証券取引所への正式な上場申請が可能となります。引受審査は証券会社独自のものであるため、証券取引所の承認は必要ありません。しかし審査に通らなければ、証券取引所への上場申請はできません。
企業が上場直後に問題を起こすと、証券取引所の引受審査に対して疑問が生じるリスクがあります。ですので、証券会社は細心の注意を払ってチェックを行います。
公開審査
公開審査とは証券取引所が行う審査で、引受審査を通過し上場申請が行われた後に行われます。
証券取引所の上場審査部によって行われる公開審査では、企業が上場要件を満たしているかが、形式的・実質的な観点から確認されます。
主な上場要件は次のとおりです。
- 財務健全性
- 情報開示の適格性
- コーポレート・ガバナンスの整備…など
公開審査では引受審査と同様の質問が行われ、上場基準の各項目が確認されます。審査を無事に通過すると上場が承認され、企業は正式に上場できます。
審査基準(形式要件と実質審査基準)
上場基準には「形式要件」と「実質審査基準」があります。これらの基準は、投資家が安心して株式を売買できるようにするために、証券取引所によって厳しい条件が設けられています。
仮に緩い条件であれば、すぐに倒産する可能性のある企業や、業績や財務内容に虚偽のある上場不適格な企業が、上場する恐れがあります。
こうしたリスクを防ぎ、投資家に信頼される市場環境を保つため、証券取引所は上場審査において厳格な基準を設定しているのです。
形式要件
企業が上場を目指す際には、まず「形式要件」をクリアすることが必要です。形式要件は「受付基準」と「不受理事項」のふたつに分けられます。
形式要件は証券取引所や市場ごとに異なります。主に次の基準をクリアしていることが必要です。
- 財務数値
- 株主数
- 株式数…など
企業が形式要件を満たしているか否かは、上場申請の際に提出された資料に基づいて判断されます。
受付基準
各市場にはそれぞれ異なる受付基準があり、主に以下の内容に基づいて定められています。これらの受付基準は、上場する際に最低限満たすべき条件であり、次の項目がその基準となっています。
- 株主数
- 流動株式数
- 流通株式時価総額
- 流通株式比率
- 収益基盤
不受理事項
形式要件を満たしていても、企業が不受理要件に該当する場合は、上場申請が却下されるため注意が必要です。不受理要件は次のとおりです。
- 合併、会社分割、子会社化または非子会社化、事業の譲受または譲渡を予定している場合
- 合併や株式交換、株式移転を計画している場合
- 上場前に第三者割当増資などで発行する募集株式の割当の確約が提出されていない、または割当先が所有していない場合
これら不受理要件に該当する場合、形式要件を満たしていても審査を通過できないため、事前に確認しておきましょう。
実質審査基準
実質基準とは、上場審査の基準のうち、企業に上場会社に相応な実質が備わっているかを審査するものをいいます。形式要件を満たしていることが前提です。
形式要件とは異なり、実質審査基準には具体的な金額や数値といった明確な基準がないことが特徴です。
申請企業が安定的かつ継続的に収益を維持し、適切な管理体制を構築しているか、さらに将来を見据えた経営を行っているかなど、質的な側面が重視されます。
書類審査に加え、ヒアリングや実地調査を実施して確認されます。実質審査基準の項目は以下のとおりです。
- 企業の継続性・収益性
- 企業経営の健全性
- コーポレート・ガバナンスの有効性
- 企業内容などの開示の適正性
- 公益および投資者保護の観点から各取引所が必要と認める事項
個別に内容を見ていきましょう
企業の継続性・収益性
審査では、企業が合理的な事業計画を立て、継続して安定した収益を上げられる見込みがあるかが確認されます。継続性や収益性が不足していると、上場に適さないと判断される場合もあります。
適切な事業計画には、整備された事業基盤が必要です。また今後の基盤整備の見込みがあることも求められます。さらに事業環境の変化やリスク管理に対しても、万全の対応が取られていることが重要です。
企業経営の健全性
事業活動に大きな影響を持つ大株主や取締役との関係において、企業が公正かつ誠実に業務を遂行しているかを確認します。
- 大株主や取締役との取引などを通じて、株主に還元されるべき利益が不当に供与されたり享受されたりしていないか
- 取締役の構成に偏りがあり、特定のグループに有利な判断がなされることで、企業の適正な意思決定が妨げられていないか
このような点が審査で評価されます。
コーポレート・ガバナンスの有効性
審査では、コーポレート・ガバナンスや内部管理体制が適切に整備され、実際に機能しているかが審査されます。具体的には、以下の点が求められます。
- 役員が職務を適切に遂行できる体制が整備・運営されていること
- 安定的かつ継続的に内部管理体制を維持するための人員が確保されていること
- 会計処理が適切に整備・運用されていること
- 法令遵守のための体制が整備され、法令違反が発生していないこと
企業内容などの開示の適正性
株価に影響を及ぼす情報を投資家へ適切に公表できる体制が整備されているかを確認します。
- 株価に影響する企業情報を適切に管理し、適切な時期に公表できる体制が構築されているか
公表資料において、会社の状況や投資判断に影響を与える可能性のある内容が正確に記載されているか
これらの体制が整っているかが審査のポイントとなります。
公益および投資者保護の観点から各取引所が必要と認める事項
反社会的勢力と無関係であることや、株主の権利が投資家の視点に立って適切に認められていることが基準となります。
東京証券取引所の審査基準

日本最大の証券取引所である「東京証券取引所」の審査基準、JPX日本取引所グループのホームページから抜粋して紹介します。
東京証券取引所は次の4つの市場があります。
個別に基準をお伝えします。
プライム市場
プライム市場における形式要件と実質審査基準は以下のとおりです。
形式要件
■株主数(上場見込み)
800人以上
■流通株式(上場見込み)
a.流通株式数 2万単位以上
b.流通株式時価総額 100 億円以上(原則として上場に係る公募等の価格等に、上場時において見込まれる流通株式数を乗じて得た額)
c.流通株式比率 35%以上
■時価総額(上場見込み)
250億円以上
■純資産の額(上場見込み)
連結純資産の額が 50 億円以上(かつ、単体純資産の額が負でないこと)
■利益の額または売上高
次のa又はbに適合すること
a.最近2年間の利益の額の総額が 25 億円以上であること
b.最近1年間における売上高が 100 億円以上である場合で、かつ、 時価総額が 1,000 億円以上となる見込みのあること
■事業継続年数
3か年以前から株式会社として継続的に事業活動をしていること
実質審査基準
■企業の継続性及び収益性
継続的に事業を営み、安定的かつ優れた収益基盤を有していること
■企業経営の健全性
事業を公正かつ忠実に遂行していること
■企業のコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性
コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制が適切に整備され、機能していること
■企業内容等の開示の適正性
企業内容等の開示を適正に行うことができる状況にあること
スタンダード市場
スタンダード市場における形式要件と実質審査基準は、以下のとおりです。
形式要件
■株主数(上場見込み)
400人以上
■流通株式(上場時見込み)
a.流通株式数 2,000単位以上
b.流通株式時価総額 10億円以上(原則として上場に係る公募等の価格等に、上場時において見込まれる流通株式数を乗じて得た額)
c.流通株式比率 25%以上
■事業継続年数
3か年以前から株式会社として継続的に事業活動をしていること
■純資産の額(上場見込み)
連結純資産の額が正であること
■利益の額
最近1年間における利益の額が1億円以上であること
実質審査基準
■企業の継続性及び収益性
継続的に事業を営み、かつ、安定的な収益基盤を有していること
■企業の健全性
事業を公正かつ忠実に遂行していること
■企業のコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性
コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制が適切に整備され、機能していること
■企業内容等の開示の適正性
企業内容等の開示を適正に行うことができる状況にあること
グロース市場
グロース市場における形式要件と実質審査基準は、以下のとおりです。
形式要件
■株主数(上場見込み)
150人以上
■流通株式(上場時見込み)
a.流通株式数 1,000単位以上
b.流通株式時価総額 5億円以上(原則として上場に係る公募等の価格等に、上場時において見込まれる流通株式数を乗じて得た額)
c.流通株式比率 25%以上
■公募の実施
500単位以上の新規上場申請に係る株券等の公募を行うこと(上場日における時価総額が250億円以上となる見込みのある場合等を除く)
■事業継続年数
1か年以前から株式会社として継続的に事業活動をしていること
実質審査基準
■企業内容、リスク情報等の開示の適切性
企業内容、リスク情報等の開示を適切に行うことができる状況にあること。
■企業経営の健全性
事業を公正かつ忠実に遂行していること
■企業のコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性
コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制が、企業の規模や成熟度等に応じて整備され、適切に機能していること。
■事業計画の合理性
相応に合理的な事業計画を策定しており、当該事業計画を遂行するために必要な事業基盤を整備していること又は整備する合理的な見込みのあること。
※ グロース市場の詳細は、「東証グロース上場基準満たして成長を加速【資金調達の最適解】」で取り上げています。
TOKYO PRO Market(東京プロマーケット)
TOKYO PRO Market(東京プロマーケット)は、東証の他の市場とは異なります。数値基準としての形式基準は設けられておらず、J-Adviser制度が導入されています。
上場適格性要件
新規上場申請者が、東京証券取引所(以下「東証」という)の市場の評価を害さず、当取引所に相応しい会社であること。
新規上場申請者が、事業を公正かつ忠実に遂行していること。
新規上場申請者のコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制が、企業の規模や成熟度等に応じて整備され、適切に機能していること。
新規上場申請者が、企業内容、リスク情報等の開示を適切に行い、この特例に基づく開示義務を履行できる態勢を整備していること。
反社会的勢力との関係を有しないことその他公益又は投資者保護の観点から当取引所が必要と認める事項。
※ TOKYO PRO Marketの詳細は、「東京プロマーケットの上場基準とは? 簡易IPOで企業成長を加速」で取り上げています。
上場申請に伴う提出書類

東京証券取引所での上場申請に必要な書類について解説します。申請書類は多岐にわたりますが、ここでは代表的なものに絞って取り上げます。
各市場や申請先により必要書類は異なりますが、例えば、グロース市場に上場申請する場合、以下のような主要書類が必要となります。
- 有価証券新規上場申請書
- 新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)
- 新規上場申請者に係る各種説明資料
- 株券上場契約書
- 取引所規則の遵守に関する確認書
- 四半期報告書の適正性に関する確認書および監査報告書
なおこれらの書類は、書面またはデータにて提出されます。
引き受け検査・上場申請の流れ

お伝えしたとおり、上場審査には、主幹事証券会社による「引受審査」と、各証券取引所による「公開審査」の2種類があります。それぞれの流れなどについてお伝えします。
引受審査
引受審査は通常、直前期と申請期に分かれ2回実施されます。引受審査は、主幹事証券会社の引受審査部門が担当します。
中間審査
直前期の「中間審査」では、企業の事業内容や財務状況、経営成績が評価され、最終審査では中間審査で指摘された課題の改善状況を確認します。
中間審査は、上場準備の進展や改善点、スケジュールを確認するためのものです。最終審査に向けた問題解決の機会としても機能しています。
審査の大まかな流れは次のとおりです。
- 資料の提出
- 質問の提示
- 回答書の作成
- ヒアリング
- 追加質問
- 事務所など実査
- 改善事項指摘
最終審査
中間審査で指摘された改善事項を踏まえて最終審査が実施されます。中間審査に比べ、比較的短期間で行われる点に留意が必要です。
- 質問の提示
- 回答書の作製
- ヒアリング
- 追加質問
- 経営者面談
- 監査役面談
- 会計士面談
- 合否判断
公開審査
各証券取引所による公開審査の流れは次のとおりです。
- 資料の提出と審査
- 書面による質問およびヒアリング
- 事務所など実査
- 監査法人へのヒアリング
- 監査法人・代表者などにインタビュー
- 社長説明会
- 上場承認公表
個別に内容を見てみましょう。
資料の提出と審査
上場申請に際して、証券取引所に対する質問やヒアリングのため、有価証券報告書(Ⅰの部、Ⅱの部)、規定集、議事録、審査関連資料を提出します。
Ⅰの部には企業の基本情報がまとめられ、上場後に公開されます。Ⅱの部には事業の概要や財務状況、業績の見通しなどが詳細に記載されますが、こちらは上場後には公開されません。
書面による質問およびヒアリング
書面での質問とヒアリングが通常3回程度行われ、数百の質問に対して数週間以内に回答をする必要があります。そのため、リソースを確保し迅速かつ慎重な準備が必要です。
このヒアリングで上場審査基準の適合性が確認され、不十分な回答には追加確認が行われます。
事務所など実査
上場申請会社への理解が深まった段階で、担当者への書面質問やインタビューの後に、事業所や工場で実査が行われます。
実査の目的は、資産の実在や規程に基づいた業務運営の確認で、必要に応じて従業員へのインタビューも実施されます。
監査法人・代表者などにインタビュー
コーポレートガバナンス上で重要性の高い、次の人物や組織に対してインタビューが行われます。
- 監査法人
- 代表者
- 監査役
- 独立役員
例えば、代表者の場合は、経営者として会社や業界に対して、どのようなビジョンを持って経営に取り組んでいるかをインタビューされます。
また上場時における株主への対応方針、業績開示に向けた体制、また内部情報の管理体制なども確認されます。
監査役の場合は、次のような内容について確認が行われます。
- 監査の実施状況
- 上場申請中の企業が抱える課題
- 内部監査部門や監査法人との連携状況
※ 監査法人に関する詳細は「IPOにおける監査法人の役割と選び方|監査法人難民の対策も解説」で取り上げています。
社長説明会
上場申請中の社長は、証券取引所の幹部などに向けて、経営方針や事業計画を伝える「社長説明会」の場を用意します。この場は、審査を担当する者が社長から直接話を聞き、企業の実態を深く理解することを目的としています。
一般的には、次の項目について説明します。
- 会社の概要
- 事業計画
- 財務状況
- コーポレート・ガバナンス
- 上場後のIR活動
上場準備から上場までの期間
通常、上場を目指して準備を進めるには、少なくとも3年以上の準備期間が必要とされています。
資本政策の策定、社内の管理体制の整備、財務報告に関する内部統制の構築など、多くの時間と労力を要する作業が伴うからです。
※ 内部統制に関する詳細は「【IPO】株式上場における内部統制の必要性や目的や要素を解説」で取り上げています。
上場申請から上場承認までの期間
上場準備を経て、実際の上場申請から上場承認がおりるまで、プライム市場とスタンダーと市場は3ヶ月。グロース市場の審査期間は2ヶ月を目安として実施されます。
上場審査の費用
東京証券取引所における、各市場の上場審査の費用はとおりです。
- プライム市場…400万円
- スタンダード市場…300万円
- グロース市場…200万円
※ 上場の費用に関する詳細は、「上場(IPO)にかかる費用を解説|審査費用、新規・年間上場料」で取り上げています。
上場審査に落ちる理由

上場審査には一度で通りたいと考えるのは当然のことです。ここでは上場審査に落ちる主な理由である、「経営者が不適切な取引を行っている」と「業績予測を達成できていない」を解説します。
経営者が不適切な取引を行っている
上場審査に落ちる理由のひとつに、「経営者が不適切な取引を行っている」ことが挙げられます。不適切な取引として「利益供与」「関連者取引」が該当します。
利益供与
利益供与とは、会社が株主に対して財産上の利益を提供する行為を指します。
関連当事者取引
関連当事者取引とは、会社とグループ会社や役員など、関連当事者との間で行われる取引のことです。そのなかで、会社の資産や債務の移転や役務の提供を伴う取引のことを指します。
業績予測を達成できていない
上場審査では、業績予測を達成できない場合、審査に通過できない可能性があります。
特に上場時に公表する業績予想については、その条件や根拠の開示が求められます。ですので、業務予測が達成できていない場合は、会社の信用度が低下する可能性が高まるでしょう。
業績予測が未達となる主な要因には、事業計画の精度が低いことや市場環境の変動などが考えられます。よって、予測達成に向けて日頃から事業計画を振り返り、加えて新興競合他社の動向を調査することが重要です。
上場審査に通過するポイント

最後に、上場審査に通過するためのポイントを取り上げます。具体的には「業務予測の精度を高める」「内部管理体制を強化する」のふたつです。
近年では、上場直後に業績の下方修正や不正が発覚するケースが増加しているため、審査はより厳格化されています。この厳しい審査を通過するために、以下のポイントに重点をおいて準備を進めましょう。
業務予測の精度を高める
上場審査に通過するには、企業の財務の健全性や成長性が評価されるため、精度の高い業績予測を提示する必要があります。
特に上場時に公表される業績予想については、その前提条件や根拠を明確に開示することが求められ、正確性も重視されています。
業績予測の精度を高めるには、市場環境の把握や自社のビジネスモデルに基づいた経営戦略の立案が不可欠です。これによって業績予測の信頼性が高まり、財務の健全性や成長性が示されるため、上場審査に通りやすくなります。
上場審査に向けて、根拠を踏まえた精度の高い業績予測を作成し、信頼性を高めましょう。
内部管理体制を強化する
上場審査に通過するためには、企業の透明性と信頼性を高める内部管理体制の強化が不可欠です。内部管理体制は上場企業としての基盤を支えるものであり、その整備が企業評価に大きく影響します。
形式的な体制にとどまらず、実質的に機能する内部管理体制を確立しておくことで、上場審査において高い信頼性を得やすくなります。
上場への道|万全の準備で審査突破

企業の成長を加速させるIPOにおける、上場審査の全容を解説しました。形式要件や実質審査基準、引受審査、公開審査と多岐にわたる審査項目と複雑なプロセスは、上場準備を志す経営者にとって大きな壁となります。
しかし上場審査は決して乗り越えられない壁ではありません。ここで解説した審査基準と対策ポイントを深く理解し、万全な準備体制を構築することで、貴社の上場は現実のものとなります。
貴社の持続的な成長と企業価値向上を実現するために、この記事が上場準備のお役に立てれれば幸いです。